小学校での教科担任制のメリットとデメリットが分かるよ!
中央教育審議会(中教審)は13日、各教科を専門の教員が教える「教科担任制」について、2022年度をめどに小学校5、6年生に本格的に導入すべきだとする方針をとりまとめた。教員の専門性を高めて授業の質を上げるとともに、授業準備の負担を減らして働き方改革にもつなげる。
引用元:日本経済新聞
小学校5・6年生で検討されている、教科担任制。
今でも高学年の音楽や家庭科などの教科は、
担任ではない級外の先生が教える学校が多いです。
級外の先生が授業をしてくれている間、担任は空き時間となり、
自分の事務作業を進めたり、教室環境を整えたりしています。
高学年は授業時間数が多いので、空き時間を作ることで、
低学年の担任と同じような持ち時間数になるように調整されているんですよね。
(実際は全く同じではない…)
空き時間とは言っても、会議が入ったり、クラスの子の様子を見に行ったり、
自分のやりたいことができない場合が多いです…💦
私は個人的に、
って、ずっと思っていました。
でも、いざ本格的に教科担任制が見えてくると、
メリットもあればデメリットもあると思い始めました😅
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小学校の教科担任制のメリット
①ひとつの教科を集中して教材研究できる
高学年の学習内容は難しく、教材研究にも時間がかかります。
教材研究に時間を使えればいいんですが、それができないのが今の学校現場の実情です。
教材研究も大変なうえ、複数教科を受け持つって本当に大変なんですよ…😢
国語の教材研究が終わったら次は算数…
図工もやらなきゃいけないし、社会の歴史はどうしよう…
体育もあったか…💦
時間全然足りないよ〜!!
頭は混乱するばかり…🌀
どうしても、広く浅くなってしまいますよね。
教科担任制なら、ひとつの教科に絞って教材研究することができます。
(教科担任制になったとしても、本当にひとつの教科をもてば済むのか疑問だが☁️)
受け持つ教科が限定されれば、狭く深く教材研究をすることができますね✨
(教材研究できる時間がそもそも少なすぎるのが大問題💢)
授業をやってみたらわかるけど、授業後、自分の力量のなさを痛感する。だから次こそはと、教材研究する。しかも教材研究は時間がかかる。
小学校は全教科。高学年になれば教科数も増える。しかも、毎日6時間。子どもが帰れば勤務時間終了。
日本の学校は異常。これが当たり前じゃない。
— ほんわか部長 (@honwakabutyo) January 20, 2017
②同じ授業を複数回できる
今の担任は、たとえ一生懸命教材研究して、掲示物も作って、板書計画もバッチリだったとしても、
1回の授業が終了すればそれで終わりです。
掲示物は他のクラスに貸すことはできるけど…
これってもったいないですよね…!
同じ授業を他のクラスでもできるなら、そっちの方が効率がいい。
1回目の授業の反省を、2回目の授業に生かせることだってできるので、
授業の質も上がるかもしれません✨
小学校の先生で、きついなーと思ったことの一つに。教材研究…国算理社体音図道英(場合によっては総、家)を行う。しかも全ての単元がほぼ1回限り。同じ学年をもったとしても、やはり子どもの様子が違うので、毎年なんだかんだ授業前に教材研究する…。浅く広くが求められてるかと思いきや
— tunana(辛口と甘口の間) (@TuNa49581811) June 8, 2020
意外と「深く広く」を求められることも多い。これは小学校教員特有の教材研究の難しさだと思う。
高学年で、複数の教科を交換した時には、感度したなあ…涙 1単元を他のクラスでもやれることに。教科も減ってありがたかった涙 それぞれ校種の難しさがあるけれども。私はそれを一番感じています。— tunana(辛口と甘口の間) (@TuNa49581811) June 8, 2020
③ひとつのクラスを複数人で見ることができる
意識は常にこうありたいですし、実際に思っています。
ただ…
小学校は学年主任も自分のクラスをもっているので、
実際は自分のクラスで精一杯になってしまうことは多いです💦
結局は、40人の子どもたちを担任ひとりが見ている状況なんですよね…
40人ひとりひとりの様子をしっかりキャッチして、適切に対応して、完璧に全てを把握するって、ハードル高すぎです😢
それができなきゃ責められる…
どれだけ担任の責任って重いの…
その点、教科担任制になれば複数人の教員が教室に入るので、
多くの目で子どもたちを見ることができます。
人間同士だから、どうしても相性があります。
自分では見つけられなかったことが、他の先生になら見えることもありますよね。
複数人で見ることは、小さなSOSを見つけられる可能性も高くなるかもしれません。
④担任色に染まらずに済む
担任がひとりだと、どうしてもその担任の色が子どもたちに影響します。
長い時間一緒にいますからね…!
とても独特な指導をする先生がいると、クラスもどうしても独特の雰囲気になりがち。
独特な指導をする教員やそのクラスの子たちは楽しいかもしれないけれど、
他のクラスからしたら迷惑なことも…
特別なことを平気でやられちゃうと、かなり困ります💦
など、自分のクラスと比べて不満をもつ子をなだめるのも大変です。
その点、教科担任制だと、ひとつの教室に代わる代わる教員が入るので、
ひとりの担任色に染まらずに済みますよね❗️
⑤精神的プレッシャーが減る
「いいクラスを作らなきゃ…💦」
高学年になると学級経営はさらに大変です。
低学年が楽というわけでは決してありませんが、思春期に向かう子どもたち40人を上手にまとめていくのは本当に大変です。
他のクラスと比べられたり、
なんて言われると、やっぱり苦しいです。
子どもだけならまだしも、保護者に言われることも…💦
学級崩壊やそれに近い状況になったら、やっぱり
「担任が悪い」
という空気になるし、子どもたちもつらいし、担任もつらい…
うまくいってない状況で、
毎日朝8時から4時近くまで、狭い教室にずっと一緒ってつらいです💦
その点、教科担任制なら「クラスを作る」という点では、精神的なプレッシャーは減るのではないかと思います。
小学校の教科担任制のデメリット
①子どもたちと広く浅くの関係になる
今までの小学校では、子どもたちと担任が一緒にいる時間が長いので、【狭く深く】の関係を築いてきました。
一緒にいる時間が長いからこそ築ける信頼関係もあります。
一緒にいる時間が長いからこそ見える姿もあります。
子どもたちといい関係が築けたら、担任にとって教室は最高に楽しい場所になります。
子どもたちの成長を目の当たりにして、感動することもたくさんあるでしょう。
教科担任制になると、多くのクラスを教科を教えるときだけ訪れるようになるので、
どうしても【広く浅く】の関係になります。
小学生の発達段階を考えると、【広く浅く】の関係が果たしていい物なのか、少し疑問に思います。
②学級ごとの「よさ」が生まれない
メリットで書いたことの逆になるのですが…
学級担任制だと、よくも悪くも担任の色が出ます。
担任の色が出過ぎないのはメリットと書きましたが、デメリットとも言えるんですよね。
教員によって学級経営が違うからこそ、学級ごとの「よさ」があった。
本来は、学級経営を頑張って、自分の理想とするクラスに近づけることが
学級担任の醍醐味なんですよ。
特に高学年は、子どもたちと信頼関係を築くのが難しいし、まとめるのは大変。
トラブルだって複雑だし、
「ごめんね。」「いいよ。」
じゃ済みません。
だからこそ!だからこそ、学級経営のやりがいがあった。
こういう言葉を聞けるから、教員の仕事って楽しいんです✨
教科担任制になったら、学級ごとの「よさ」って生まれるのかな?
作り出すことはできるのかな?
想像がつかないです…💦
③心地のよい所属感がなくなる
学級経営がうまくいき、子どもたちがそのクラスに慣れてくると出てくるのが
「ただいま〜!!」
という言葉。
休み時間が終わって、教室に帰ってくるときに聞ける言葉です。
私はこの言葉を聞くたびに、
と思ってました。
非常勤時代、担任を持ってないときには聞いたことのない言葉でしたからね…!
やっぱり、級外は担任には敵わないんです。
子どもたちが、
「学校の中では帰ってくる場所はここ!」
「学校の中では頼るのはまずこの先生!」
と思ってくれているんだと、嬉しい気持ちになりました✨
教科担任制になって、代わる代わる教員が出入りする教室に、
果たして心地のいい所属感は生まれるのだろうか?
特に、発達障害のある子たちは落ち着ける場所が必要です。
心地よい所属感があるのが「クラス」のよさのはず。
子どもたちにとって、教室が「ただそこにいるだけの場所」にならないか心配です。
④授業の自由度がなくなる
小学校全科を受け持っていると、
「2時間目算数だけど、最初に漢字テストだけやらせてね!」
「急遽、国語を算数にします!」
なんてこと、結構あります。
(こんなことけしからん!という教員もいます💦)
全教科受け持ってるからこそできることってあるんですよね…
「これ、算数でもやったよね!」
「この間の国語にも出てきたけど…」
「今日は特別寒いから、体育館行く前にルールだけ伝えるね!」
なんて会話も、教科担任制になったらできなくなりますね😅
授業の自由度…小学校ではある程度残っていて欲しいな〜と思います💦
まとめ
メリット
・ひとつの教科を集中して教材研究できる
・同じ授業を複数回できる
・ひとつのクラスを複数人で見ることができる
・担任色に染まらずに済む
・精神的プレッシャーが減る
デメリット
・子どもたちと広く浅くの関係になる
・学級ごとの「よさ」が生まれない
・心地のよい所属感がなくなる
・授業の自由度がなくなる
今回は、新しく検討されている小学校の【教科担任制】について考えてみました。
13日のとりまとめでは、教科担任制の導入で教材研究が充実し、授業の準備も効率的になると指摘した。今後の検討課題としては教科担任制に必要な教員数をどう確保するかや、小中の両方で教えられるような教員の養成や採用の仕組み、小中で分かれている教育職員免許法のあり方などを挙げた。
引用元:日本経済新聞
新聞記事からも分かるように、今後検討しなきゃいけないことがたくさんあるようです。
「成績処理はどうやるの?」
「所見欄は誰が書くの?」
「担当教科はどうやって決めるの?」
「持ち時間数の偏りはどうするの?」
「特別教室がかぶらないように時間割決めるの大変そう…」
「結局会議増えそう…」
「本当に働き方改革になるの?」
など、疑問は尽きません💦
子どもたちと教員のために、見切り発車だけはやめて欲しいです。
ってことが多すぎますから!!💢
子どもたち相手の仕事で、
「やっぱや〜めた!」
「やっぱ変えよっと!」
は、通用しないんですよ!!!と、声を大にして言いたいです。